慶應義塾高等学校の入試傾向と対策(含ボーダーライン)

 慶應義塾高校は、

  • マンモス校である(=合格者数が多い)
  • 男子高である
  • 神奈川県という立地

などが関係してか、原則100%早慶大学に進学できる高校の中では、最も入学しやすい学校になっています。

 中学受験や大学受験で早慶に入学するのと比べても、高校受験で慶應義塾高校に入るというのは、最も易しい(努力が報われやすい)ルートであると思われます。ですから、早慶のブランドが欲しいという方は、ぜひ受験を検討したい高校です。

目次

慶應義塾高校入試の傾向と対策

ボーダーライン(合格最低点)

 まず前提として、慶應義塾高校は、2026年度入試から面接がなくなります。その影響で、今までよりも学力試験の突破ボーダーがやや高くなると思われます。

 今までであれば、その年の入試難度によって、160点~180点くらいであったと思われますが、2026年度入試からは170点~190点くらいになるものと予想されます。

 直近の2025年の3科の予想合格最低点は175~180点くらいです。内訳としては、

  • 数学60点
  • 英語65点
  • 国語55点

というイメージを持っていただければと思います。

以下、ご参考程度に、過年度の合格最低点予想↓

  • 2024年 175点
  • 2023年 165点
  • 2022年 160点
  • 2021年 180点
  • 2020年 175点
  • 2019年 165点

「得意2・苦手1」「得意1・ふつう2」を目指す

 「得意2・苦手1」というのは、たとえば「英国が得意で数学は苦手」という状態です。たとえば私の過去の生徒では、「英国70点・数学40点」という得点で合格した子がいました。得意科目が2つあれば、苦手科目1つをカバーすることができます。

 大事なことは、「得意1・苦手2」という状況のまま入試に突入しないということです。

 慶應義塾高校を目指し、最終的には合格を勝ち取っていくような生徒でも、やはり中2くらいまでは「得意1・苦手2」になっている生徒が多いです。そこからいかにして「得意2」の勝ちパターンに持っていくかが合格率を高めるうえでの大きなポイントになります。

各科目ごとの傾向と対策

英語

 大問4題。以下の内容が出題されます。

  1. 空所補充 – 選択式(文法・語法)10問
  2. 語文訂正(文法・語法)10問
  3. 空所補充 – 頭文字の続きを埋めるタイプ 10問
  4. 物語文 内容一致選択式問題10~15問、和訳または整序英作文2~3問、英作文(40~50語書けそうな解答欄)

 見ていただいてお分かりになるとおり、他の早慶附属高と比べて、文法を直接問う問題の比率がかなり高いです。

 仮定法、時制(時制の一致、過去完了など)、受身、品詞理解(形容詞と副詞や接続詞と前置詞など)、関係詞、比較級・最上級などなど、幅広く問われます。

 物語文の内容一致問題選択式問題については、正しくストーリーを追えていれば必ず正答できる難度のものがほとんどです。

 他の難関校の英語試験だと、文章が読めたうえでも選択肢が選びづらい問題もちらほらあることを考えると、その点については良心的な設計であるといえます。

 対策としては、文法的な正確性が問われる問題が多いですから、自由英作文・和文英訳に多めに取り組みたいです。和文英訳を通じて、各種の文法に関する理解不足がないかチェックして、穴をつぶしていくのがよいです。

 それから、長文の選択肢は比較的選びやすいとはいえ、ストーリーが分からないレベルだと困ります。物語文の長文を読んでいて迷子になることがないレベルには、長文読解を仕上げておく必要があります。

 単語力は英検2級単語までしっかり覚えておけば良いでしょう。

数学

 2022年以前は大問7題構成(しかも各大問の計算量も遠慮無し)の回が多く、「受験生は絶対に解き終わらない」と評判の試験でした。

 2023年からはやや緩和され、大問6題構成が続いています。

 内容としてはオーソドックスないわゆる早慶レベルの問題が多いです。

 幅広く、ちょっとしたテクニックを要する問題や、類題経験がないと厳しかろうという問題が他校より多めに出ます。解くスピードを上げる意味でも、早慶の過去問を中心に、演習量を多めに積んでおくのが好ましいです。

 図が歪められていることが多いので、その点には注意が必要です。

国語

 2023年~2025年は論説文2題が出題されています。早慶の中では、読みやすく、趣旨が分かりやすい文章を出題します。たまに小説や古文も出します。

 小問としては、語彙力(類義語・対義語の知識含む)を問う問題、抜き出し問題が他校より多めです。内容一致の選択式問題はあまり出ません。

 詳しい理由や条件はここでは省きますが、個人的に慶應義塾を目指す場合、国語は最小限の対策に留めるのがもっとも効率的になる生徒が多いと考えています。

大きな声では言えませんが…

 慶應義塾高校の入試は、昔から出題ミスが多めです。

 答えが存在しない問題や、おそらく想定されていないであろう複数の解が存在する問題。また、数学特有ですが、外れない二重根号が解答に出てきてしまうなど…。

 入試問題の作成体制によるものなのかとは思いますが、詳しい理由は分かりません。

 入試本番で、おかしなことが起こっていたとしても、そこにこだわりすぎないようにしましょう。

夏~秋に過去問を解いた場合の得点率

 夏~秋(8月、9月、10月、11月)にかけて、初めて慶應義塾高校の入試問題を解く生徒が多いと思います。過去の合格した生徒の例でいえば、ほとんどの場合、夏や秋の時点で合格点は取れていません。入試本番では余裕を持って合格していった生徒でさえ、です。

 大切なのは、努力の方向性です。正しい方向にさえ努力できていれば、必ず得点力は上げることができます。

一番大事なこと

 私見ですが、高校入試は、中学入試や大学入試と比べて、最も努力が実を結びやすいと思っています。

 限られた学習範囲の中で、高校ごとに毎年同じような傾向・形式で入試問題を出題しているので、そうした学校ごとの傾向を把握している教師と一緒に、そこに絞って対策をすれば何とかなることは多いです。

 私は過去、中学受験でマーチレベルの学校に落ちてしまった子を、高校受験で早慶附属高校に合格させたこともたくさんあります。「過度に悲観的や楽観的にならずに、やるべきことを淡々とこなしていく」ことが、そうした逆転合格を引き寄せるカギとなります

 もちろん、だれしもモチベーションを保つのが難しかったり、心が折れそうになる時期もあります。そういうときに、周りの大人たちがいかに伴走して支えてあげられるか、というのもまた重要です。

 本気で慶應義塾高に合格したい方。ぜひコリスの個別指導で一緒に走り抜け、慶應義塾高校の合格をつかみ取りましょう

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この記事を書いた人

東京大学理科Ⅰ類→言語学科卒|TOEIC満点
生徒の成績を上げるのがとにかく得意です!
「楽しく・最高効率で学びを進める」ことを常に考えています。
自分自身、学ぶ者の気持ちを忘れないため、毎日数時間勉強しています。
インドで働いた経験あり。

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