立川裕二さんという方は、非常に優秀な理論物理の研究者です。東大・カブリ機構の教授をされています。
彼がインタビューを受けている動画を見たのですが、彼の学問に対する自由な向き合い方は、令和を生きる若者たちにも非常に参考になる部分が多かろうと思いましたので、共有させていただきます。
動画は下に載せてありますが、その前に、なぜ私がこの動画を共有しようと思ったかをご説明させてください。
私はかつて某有名進学塾の数学科に所属していたわけですが、高校受験の数学科においては、証明が重要視されすぎていると思うのです。
熱心で優秀な先生ほど、「自分で証明できない公式を使うな」と生徒におっしゃるのをよく見てきました。
しかし、私はいろいろな理由があって(ここに書くには複雑かつ細かすぎるので省きますが)、一部の定理・公式については、証明を知らなくても良いと思っています。(どの定理については証明を知る必要がないか、というのは私の指導経験の結晶でもあり、記載は控えます)
また、本当に大事なことは、学んだことに対して「正しい納得感」を持たせることであって、その方法は必ずしも証明である必要はないと思っています。
立川先生自身、高校生時代に数学オリンピックで日本代表として活躍されたほどの数学強者ですが、
「Nekrasovの論文は未だに分からないところがいっぱいある」
「厳密な証明がやりたいタイプではない」
「スタートとゴールを見て、正しそうであれば自分で途中を考えて繋げてみる」
といった趣旨のことをおっしゃっています。
感じ取っていただきたいのは、学問というのは、「すべてを理解しないと先に進んではいけない」わけではない、ということです。
完璧主義すぎて、学ぶということに対して閉塞感を覚えてしまっている学生の方々は、ぜひ肩の荷を降ろして、気楽に向かい合ってみてほしいと思います。
※その逆に、ほとんど何も理解しないままどんどん先に進んでしまうタイプの学生もいて、そっちはもっと危険なので反省してください。笑
なお、誤解しないでいただきたいのは、私はやみくもに公式を教えるタイプの教師ではありません。むしろ、極力生徒の暗記の負担を減らしてあげたいので、最低限の道具立てで解けるように、問題の見方・解き方を教えています。また、生徒の特性を見つつ、生徒ごとに教える公式の量は調節しています。それで最高レベルの実績を出し続けていますから、ご安心ください。

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