長年の英語学習・指導経験により分かってきた英語の成績のあげ方をまとめてみます。
今回の記事は、中学校3年生までに習う文法や単語は一通り知っていて、受験に向けた勉強をすでに始めている人を想定した内容になります。
なお、タイトルにある「難関高校」とは、具体的には早慶附属高校などの難関私立や国立高校を想定しています。
英語の成績を決める3つの力
英語の成績を決めているのは、以下の3つの力になります。
- 単語力
- 文法力
- 文章処理力
以下、順を追って解説していきます。
単語力
単語力と英語の成績の相関がかなり強いことは、研究でも示されています。相関係数0.78というデータもあります。これは、「単語力でほぼ成績は決まる」と言えるレベルの相関関係です。
ある研究によると、文章の意味を適切に理解するためには、その文章の95%以上の単語を知っている必要があるそうです。また別の研究によると、98%以上の単語を知っている場合は、リーディングを楽しむことができるそうです。
私は、早慶附属高校の過去数年分の英語試験に用いられている単語を、英検の級に分けて分析したことがあります。
その結果、たとえば慶應女子高校であれば、英検準2級レベルまでの単語をすべて知っている場合、長文読解に出てくる単語のカバー率が95%を超えることが分かりました。
ただ、英検2級レベルの単語も下線部を含む要所で多く使われており、その単語を知らないと解けない問題が多かったため、英検2級レベルの単語までは知っておきたいところです。たとえば、2025年慶女では、英検2級レベルの単語が34語登場します。1回の試験で34単語も知らない単語があったら絶望しますよね。一方、英検準1級レベルの単語(注釈がないもの)はわずか3単語のため、英検2級レベルまで覚えると、慶女レベルの入試に対応できることが分かります。
※「英検◯級レベル」というのは、書籍によってバラバラだったりします。私は、いろいろな単語帳を実際の英検と比較したうえで、「最も正確に英検の級レベルと対応している」と言われている、ジャパンタイムズ出版の「単熟語EX」シリーズと引き比べてみています。
単語力の上げ方
単語の勉強は、単語帳で覚えるのが効率が良いです。覚え方に関しては、以下の記事を参考にしてみてください。
単語帳での英単語の覚え方・コツ(中学生~難関高校受験レベル向け)
おすすめの単語帳
単語帳はやり切れることが大事なので、デザインが気に入るなどで、自然に手が伸びやすいものを選んでもらえればと思います。
なお、個人的なおすすめはジャパンタイムズ出版の「単熟語EX」シリーズです。単語、熟語、会話表現のパートに分かれていて、どれも高校受験で重要な内容です。
とにかく早く単語を覚えよ
単語の勉強は、思い立ったらすぐにやってください。なるべく早く、たくさん覚えてください。
なぜかというと、
- 「今日長文を2時間読んで、明日単語を2時間勉強する」
- 「今日単語を2時間勉強して、明日長文を2時間読む」
を比べると、先に単語を勉強する方(2番目)が学習効果が高いからです。単純に、同じ長文を読むなら、たくさん単語を知っている状態の方が、キャッチできる知識の範囲が広がる・学習効率が上がるからです。
文法力・文章処理力
文法力というのは、以下のような内容に関して、正しく読めて、正しく使える能力を指します。
- 時制
- 文型
- 関係詞
- 不定詞
- 動名詞
- 分詞
関係詞や分詞は、ややこしく感じる人が多いため、「文法力」と言われてイメージするのはこうした内容が一般的かなと思います。
ただ、それにも増して、長文読解の得点力に大きな影響をもたらすのが「時制」です。高校受験レベルでは、それなりに英語が読める生徒でも時制の解釈が適当になってしまっている例をかなり見ます。具体的には、現在時制の文(つまり事実や習慣的な内容)を読んでいるのに、過去の出来事の話だと思って読んでいるということがかなり多いです。
「そんなことある?」と思われるかも知れませんが、以下のような文において、たくさんの生徒で起こります。
Surface currents also influence the temperature on land. One example is a huge warm-water current which begins near Mexico, flows past the east coast of America, and finally (r- ) the north part of Europe.
(2011年慶女・大問3。空欄には、rから始まる語を適切な形にして答える。)
メキシコの近くで発生し、アメリカの東海岸を通って、ヨーロッパ北部まで流れていく海流(一般的事実)の話ですが、これを過去の特定の場面で発生したある海流の話だと思って読む生徒がそれなりにいます。すると、空欄に入れるべき解答はreachesなのですが、これをreachedと過去形にして答えてしまうわけです。
また、仮に空欄補充で直接失点しなかったとしても、こういう小さな誤読の積み重ねにより、読みがふんわりしていってしまい、それが色々な問題での失点につながるのです。
文法力の伸ばし方
文法力は、2ステップで伸ばしていく必要があります。
- 説明を聞く(または読む)ことで、概念として理解する。
- 実際の長文の中で触れることで、正しく・速く処理できるようにする。
1段階目は参考書や授業で知識として仕入れ、2段階目はひたすらたくさん英文を読むことで磨かれていきます。
細かすぎる文法(語法)にはこだわらない
文法力というと、「クジラ構文」のような難しい・珍しい構文を理解できる力と考えてしまう方もいらっしゃいますが、そういうのが実際に高校入試で聞かれることはほとんどありません。
ですから、難しい・珍しい構文を理解したり覚えたりするのではなく、よく見る文法事項を、いかに正確に、素早く理解できるかというのが、高校入試の英語の成績に直結する文法力であるということをよく覚えておいていただきたいです。
そのため、「参考書や授業などで文法を直接学習する」という1段階目のフェイズは、なるべく短時間で素早く終わらせて、そのあとたくさん英文を読んでいくのが、英語の成績を上げるうえで大切となります。もちろん、英文を読む段階になっても、疑問に思った文法事項は、その都度参考書に戻って調べるといった学習が効果的です。
英文量の稼ぎ方
たくさん英文を読むことは「多読」と呼ばれています。非常に学習効果が高く、近年かなりメジャーな用語になってきました。多読・多聴素材としては、以下のようなものがあります。
- 小学生の時に好きだった本(できれば原書が英語のもの。ダレンシャンとか)の洋書版
…ストーリーを知っているので、読み進めていきやすい。 - ORC(月1000円のサブスク)で英語絵本を読み漁る
- 自分の趣味関連の英語圏のYoutube
- 教育的内容の英語圏のYoutube(例:TED-ED,DW documentary, Scishow)
効果が高いことは間違いない多読・多聴ですが、その難しさは「素材の確保」と「継続」です。
読み物としての「速読英単語」・過去問
上記のような「娯楽的なものを楽しみながら英語を学ぶ」という考え方が馴染まない場合には、「速読英単語(入門編)」を読み物として読むことをお勧めしています。文章が難しすぎないので、挫折しづらいのと、単語の復習にもなりやすくて良いです。
また、過去問を解き始めている場合には、「すでに解いた過去問の長文を何度も繰り返し読む」というのも、非常に有効な勉強方法です。生徒に任せておくと、どうしてもどんどん新しい過去問を解き進めたくなる子が多いですが、「問題を解く」というのは、多くの生徒にとっては必ずしも効率のいい英語学習法ではありません。
ほとんどの日本の学生は、「英文を読んだ量」が圧倒的に不足している一方で、問題を解くスキルは十分な場合が多いです。ですから、問題を解くことに時間を割くのではなく、とにかく英文を大量に読むことが重要です。
一つの文章は最低でも3回読む。100回読んでも構いません。一つの文章をまるまる覚えてしまうくらい読んでもいいです。正確に覚えた文章の表現は、英作文にも活きてきます。
文章処理力をwpmで測る
wpm(words per minute)というのは、1分間あたりに読める語数のことです。「100wpm」であれば、1分間に100語読めている、ということです。
中学生の平均wpmは50~70程度、高校生の平均wpmは70~100程度と言われています。大学受験の共通テストを時間内に解ききるためには、150wpm程度が必要とされており、共通テストがいかに時間が足りない試験であるかがここからも分かります。ちなみに、ネイティブスピーカーの読解スピードは200~250wpmとされています。もちろん、この値は読む文章の難度によって大幅に上下します。
早慶附属高校の英語の入試問題では、だいたい2000語~2500語読む必要があります(例として、2025年慶應女子高校は60分間の試験で約2200語、2025年早大本庄高校は50分間の試験で約2000語読む必要がありました)。
慶應女子高校であれば、英作文に8分ほど使うことを考えると、読解問題に使えるのは52分間。頭を悩ませる問題や、根拠を探しなおす必要がある問題がそれなりにあるので、半分以下の20~25分くらいで問題文は読み切りたいと考えると、90~110wpmくらいのスピードで読める必要があることが分かります。
上でお勧めした速読英単語には、各ページに語数が書かれています。これを用いて、簡単にwpmを測ることができます。ストップウォッチを用意して、5ページほど読むのにかかる時間を測り、「語数÷かかった時間」でwpmが計算できます。速読英単語入門編は難関高校入試と同じようなレベルの文章ですから、これで110wpmを目指して速読力を高めていくと目安として分かりやすいです。
ちなみに私は速読英単語の文章であれば300~350wpmくらいで読めますので、110wpmという値は「純日本人には到達不可能なスピード」とかでは全くありません。
足りない力が成績を決めている
初めにご紹介した3つの力について、大事なことがあります。それは、英語という科目の性質上、「足りない力が成績を決める」ということです。
- 単語力…偏差値40レベル
- 文法力…偏差値60レベル
- 文章処理力…偏差値50レベル
↑たとえばこんな感じで能力が凸凹な場合、単語力が低いせいで、偏差値40くらいになってしまうケースが多いということです。
- 単語力…偏差値55レベル
- 文法力…偏差値60レベル
- 文章処理力…偏差値40レベル
↑こういう例もよく見ます。知識としての理解はあるけれど、英文を読んできた経験値が圧倒的に少ないため、とんちんかんな読み方をしてしまったり、読むのが遅すぎたりするという例です。
大事なことは、「今の自分に足りない力を見極めて、そこを重点的に埋めにいく」ということです。自分で分からない場合には、こうしたことをよく分かっている先生に見てもらうことが必要です。
無意識に苦手な勉強を避けてしまう生徒が多く、そうすると「勉強しているのに成績が伸びない」ということになってしまいがちですから、補強ポイントを明確に意識して勉強することはとても大事です。

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