今回の記事では、長文読解をするうえで非常に有用な英文法上の考え方をご紹介します。
「英文法」としては、この切り口ではあまり習わないので、知らない方も多いかもしれません。しかし、知っているのと知らないのとでは、英文解釈のスムーズさに大きな差が出ます。
具体的には、関係代名詞の省略を見抜けるか否かに大きくかかわってきます。大事なことですから、ぜひ最後まで読んでいってください。
それでは、名詞と名詞が連続する例を見ていきましょう。
~名詞と名詞が連続する例~
SVOO,SVOC
まずは、もっともよくある例から。第4文型、第5文型です。
SVOO,SVOCのOO,OCの部分が名詞連続になります。(Oは名詞のみ。Cは名詞か形容詞)
これらの文型をとる動詞は決まっていますから、動詞リストを覚えることで第4文型・第5文型であることを見抜くことができます。(実際には、リストを覚えなくても意味グループで判別できます)
第4文型をとる動詞(授与型の動詞等)
- SVO + to~に書き換えできるもの:give, lend, show, hand, offer, pass, pay, sell, send, teach, tell, feed, write, promise, owe
- SVO + for~に書き換えできるもの:buy, cook, bake, find, make, choose, get, leave, sing, save, read
- SVO + of~に書き換えできるもの:ask
- 奪う系の動詞:cost, take, charge
なお、1と2の見分けも入試問題で頻出ですが、
1の「SVO+to~に書き換えできる動詞」は、「相手がいないとその行為自体が成り立たない動詞」
2の「SVO+for~に書き換えできる動詞」は、「相手がいなくてもその行為自体は実現可能な動詞」
として見分けることができます。
第5文型をとる動詞
OがCだと思う・信じる系
| think O (to be) C | OがCだと見なす・思う |
| consider O (to be) C | OがCだと見なす・思う |
| find O (to be) C | OがCだとわかる |
| believe O (to be) C | OがCだと信じる |
| prove O (to be) C | OがCだと証明する |
※to beは省略可
呼び・名付け系
| call O C | OをCと呼ぶ |
| name O C | OをCと名づける |
以上に挙げた動詞の場合には、動詞のあとに名詞と名詞が連続できますから、覚えておきましょう。
また、第5文型をとる動詞のうち、Cに名詞が来ないものもありますので、念のため以下に挙げておきます。
OがCだと知覚する系(Cは形容詞のみですが、第5文型として念のため)
| see O C | OがCであるのを見る |
| feel O C | OがCであるのを感じる |
OをCの状態にする系(Cは形容詞のみですが、第5文型として念のため)
| make O C | OがCである状態を作る(OをCにする) |
| keep O C | OがCである状態を保つ |
| leave O C | OをCのままで置いておく |
| set O C | OがCである状態にセットする(OをCの状態にする) |
※上記のうちmakeだけは、They made him captain.(彼らは彼をキャプテンにした)のように、Cに名詞が来ることがあります。ただ、このようなことはたくさん英語に触れているうちに自然と覚えますので、あまり積極的に覚える必要はないです。
同格
① 名詞, 名詞, ~のパターン(説明・追加情報)
My brother, John, lives in Canada.「兄のジョンはカナダに住んでいる。」
Tokyo, the capital of Japan, is very safe.「日本の首都である東京はとても安全です。」
Mr. Smith, our math teacher, is very strict.「私たちの数学の先生であるスミス先生はとても厳しい。」
The idea, a simple but powerful one, changed everything.「その考え——シンプルだが強力なもの——がすべてを変えた。」
Our next goal, a very ambitious project, will take years.「次の目標——非常に野心的なプロジェクト——は数年かかるだろう。」
※和訳問題の場合には、——は使わずに訳してください。上では、感覚やニュアンスを反映することを優先しました。
② 名詞+名詞(関係・職業・役職+名前)
My friend Ken is a doctor.「私の友人のケンは医者です。」
I met my cousin Emma yesterday.「私は昨日、いとこのエマに会いました。」
President Trump visited Japan.「トランプ大統領が日本を訪れました。」
Chef Gordon Ramsay created this dish.「シェフのゴードン・ラムジーがこの料理を作りました。」
③ 名詞+同格のthat
一部の名詞は、その内容を詳しく説明するために、直後にthat節をとることができます。これは分かりやすいですね。
The fact that she didn’t come worried us.「彼女が来なかったという事実が、私たちを心配させた。」
I had no idea that she was a doctor.「彼女が医者だとは思わなかった。」
The belief that hard work always pays off is common in Japan.「努力は必ず報われるという信念は、日本では一般的だ。」
There is a rumor that he will quit the team.「彼がチームを辞めるという噂がある。」
We have a hope that the project will succeed.「プロジェクトが成功するという望みがある。」
He broke his promise that he would return the money.「彼はお金を返すという約束を破った。」
The news that the game was canceled disappointed the students.「試合が中止になったという知らせは、生徒たちを落胆させた。」
関係代名詞目的格の省略
ついに本題にやってきました。
英文読解上大事な考え方は、名詞が連続していて、それがSVOOやSVOCではなく、同格でもない場合、「関係代名詞目的格の省略である」と考えなければいけないということです。
※些末な例外があります。後述します。
The computer the company developed is very powerful.「その会社が開発したコンピューターはとても高性能だ。」
This is the restaurant my friends run.「ここが私の友達が経営しているレストランです。」
We visited a museum our teacher told us about.「私たちは先生が教えてくれた博物館を訪れた。」
She cooked a dish her mother taught her.「彼女は母親が教えてくれた料理を作った。」
He bought a computer the company developed.「彼はその会社が開発したコンピューターを買った。」
上の例で、青い下線の名詞と、緑の下線の名詞が連続しており、その間には関係代名詞の目的格であるthatが省略されています。
英語の点数が安定しない人は、このタイプの文が「関係代名詞目的格の省略である」と見抜けずに、単語をすべて日本語訳したあと、それを文意が通るように適当に主語や目的語にして繋げて読んでいる場合が多いです。
文構造から、そこにある名詞句が主語なのか目的語なのかは必ず決まるようになっていますから、文法的に考えて英文を処理できるようになりましょう。
「ネイティブスピーカーは文法なんて考えて読んでいませんよね?」と思われるかもしれません。たしかにネイティブは意識的に文法を考えて読んでいるわけではありません。しかし、無意識的に必ず文法処理を行っています(言語学では、パーシングと呼ばれています)。みなさんも慣れれば無意識でできるようになりますから、その前段階として必ず意識的に文法的解釈をしながら英文を読むようにしましょう。
その他、あまり注意を要しない例
SVOO,SVOC,同格,関係代名詞目的格の省略以外にも、名詞が連続する例は以下のようなものがあります。ただ、見ればすぐわかるので意識する必要性はほとんどありません。
- 名詞が名詞を修飾する場合:tennis playerなど。
- 前置詞句が前に置かれている場合:In the park, he is running.

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