この仕事をしていると、たま~に生徒から聞かれることがあります。
「過去問を解いても全く同じ問題は出ないんだから意味なくないですか?」
と。その疑問は、分からなくはないです。私も受験生になりたての頃は、同じようなことを思っていました。ただ、ストレートに言ってしまえば、これははっきり間違っているといえます。
私は、過去30年分ほど、都内に限らず全国の有力な高校の過去問を解き尽くしてきました。
そんな私が思うに、正しくは、このとおりです。
「過去問からは、全く同じ問題は(ほぼ)出ませんが、全く同じ考え方の問題はいくらでも出ます。」
過去問に限らず、高校受験というのは非常に範囲の限られた狭い世界ですから、何らかの問題を解けば、最初から最後までほとんど同じ考え方で解ける問題は、結構な確率で入試問題に登場します。
早慶の数学だけで見ても、「あの年のあの問題と数字まで全く同じ」ということさえあります。
私自身の入試のお話もさせてください。
私自身は高校受験はしておりませんので、大学入試のお話になります。
範囲の広い大学入試ですが、過去問の勉強はそのまま得点力アップに直結しました。私は入試の直前1か月は、ひたすら東大の理科の過去問ばかり解き続けました。それを始めたばかりの頃の理科の得点率は60%くらいだったのですが、最後の方になると97%くらいに伸びました。97%というのは、満点か、悪くて1問ミスというレベルです。おそらく、日本の同学年で5本の指に入るくらいには理科を極めていたと思います。途中から、出題者の意図が手に取るように分かるようになっていて、「またこの切り口ですか。3年前も出てましたよ」と思いながら解いていました。
このようなことは、過去問に限った話ではありません。入試前日にホテルで見た参考書のコラムのような場所に書いてあった「ミカエリスメンテン式」が、そのまま翌日の東大入試本番の化学の問題に出ました。当時の私は上述のように理科を極めていましたが、そんな私でも知らないようなマイナーな式でした。また、初見だとやや処理の難しい部分があり、そのときに見ていなければ解けていなかったと思います(本番では前日に見たおかげでさくさく解けました)。なお、その年に東大が出題したことを皮切りに、近年はちらほらミカエリスメンテン式の出題があるようです。
また、理科だけにもとどまりません。入試前1か月間、私は数学の勉強はほとんどしていなかったのですが、申し訳程度に古い過去問を1問だけ解いていました。なんと、本番で全く同じ設定の問題が出て、さくさくと完答することができました。
昔話に熱が入ってしまいましたが、私のお伝えしたいことは以下の通りです。
「過去問の問題は、ほとんどそのまま繰り返し出ます。」
過去問の考え方を完璧にマスターするだけで、得点力はかなりアップします。また、直前に解いた問題は、そのまま入試に出ます。
そのつもりで、解いた問題はすべて血肉とするつもりで頑張りましょう。応援しています。

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