生徒が慶應義塾湘南藤沢高等部の帰国子女入試を受験して、問題をシェアしてくれました。いつもありがとうございます🙏
慶應SFC高校の帰国入試は2022年度に「小論文45分+数学45分+面接(英語10分+日本語10分)」の構成になってから、形式が大きく変わることはなく今まで続いています。
2021年度までの英数国3科目入試からわざわざ手間のかかる形式に変更したということは、それだけSFC高等部が学力よりも人間性や学ぶ姿勢を重視しているということです。定員が少ないので、周りとうまくやっていける子が欲しいのでしょう。
小論文について
過去の出題内容
45分で500字以上600字以内です。
2026年度
課題文 A4で3ページ分。内容は、話者の少ない言語が急速に失われつつあること、その社会的影響、いかにそうした言語を守るか。出典:別冊日経サイエンス「変わりゆく言語」
Aさんの意見 言語が少ない方が争いのリスクが減るのだから、言語の維持を第一に優先しない方が良いのではないか。
問題 課題文の筆者の立場にたって、Aさんを説得する文章を書きなさい。
注意
- 説明に当たっては本文中の語を適宜使用すること。引用する場合は「 」でくくること。ただし、引用の字数は全体の二割以内にとどめること。
- 原稿用紙の使い方に従い、適宜段落分けをすること。
2025年度
課題文 A4で2ページ半。内容は、アスリートのドーピングと商業主義・国家主義や一般市民の立場に関する多角的考察。出典:中村隆文「なぜあの人と分かり合えないのか」
問題 本文中で筆者は、ドーピング問題には様々な要素が関わっていると述べています。あなたも、ドーピング問題に関わる複数の要素と、それらの要素によって作られる構造を考えてみてください。その上で、ドーピング問題に関わる被害を少なくすることを目指した啓蒙活動を立案し、説明してみてください。
注意
- 誰に、どのように働きかけるとよいのか、読んだ人がわかるように説明しなさい。
- 説明に当たっては本文中の語を適宜使用すること。
- 引用する場合は「 」でくくること。ただし、引用の字数は全体の二割以内にとどめること。
- 原稿用紙の使い方に従い、適宜段落分けをすること。
2024年度以前のテーマ
2024年度
図書館の貸出は無料であるべきか有料であるべきか。
出典:吉田右子『オランダ公共図書館の挑戦』
2023年度
写真A〜Cから1つ選び、本文に挙げられている写真の性質を踏まえて広告を作成する。
出典:カイシトモヤ『たのしごとデザイン論 完全版』
2022年度
「女性差別なんて気にしてはいけない」という言葉が、発言した人の属性(立場・世代など)によってどう変わるか。
出典:白戸圭一『はじめてのニュース・リテラシー』
解き方・対策
<解き方>
かなり凝った問題になっていることが多く、文章構成を決め打ちしない方が良いです。特殊な指示のため、用意したままの構成で書けるような課題ではないことが多いです。
まずは、課題文より先に問題に目を通しましょう。そこから、課題文をどの程度の精度で読むべきかを考えます。2025年であれば、細かいところをしっかり読む必要はありませんでした。2026年は、じっくり読む必要がありました。
「意見・理由・想定反論・再反論・まとめ」「意見・過去の体験や具体例・まとめ」といった構成をベースに、目の前の問題に合わせて500字〜600字で収まるように流れを考えます。15分以内にここまで終わっていると順調です。
500字〜600字なので、3〜4段落(序論→本論(→本論2)→まとめ)で書くのが一般的です。
<対策>
付け焼き刃では太刀打ちできませんから、論理的・多角的な思考力を鍛えることが重要です。社会的な題材が多いので、普段からニュースについて親子で意見交換するなどの対策が意外と有効です。中学生の論理は大人から見ると破綻していることが多く、自分の考えに対して大人目線でどのような反論があり得るかを想像できるように普段から練習しておくと良いです。
また、「ニュースや新聞記事を100字程度に要約し、自分の意見を500字〜600字程度で書く」という練習が非常に有効です。
500字〜600字は意外と短いです。普段から原稿用紙を使って、「この辺からまとめ始めたらうまく入る」を体感として知っておくことが重要です。必ず何本か練習しておきましょう。
私は過去問にくわえて、SFC高等部の過去問を模倣したオリジナル対策問題をいくつか用意しておりますから、お通いの方はそちらで練習していただけます。
数学について
大問5題です。2025年、2026年は以下のような問題構成です。それ以前も大問構成にマイナーチェンジはありますが、出題内容はほぼ同じです。
- 大問1 計算系小問集合(文字式、平方根、展開、因数分解)
- 大問2 小問集合(文字式、データの活用、図形)
- 大問3〜5 関数、図形、確率
大問2と大問3〜5の図形問題は、どちらかが平面図形、どちらかが空間図形となっています。
レベル的には中杉の問題くらいをイメージしていただきたいです。過去問が手に入りづらい人は、中杉の過去問で対策すると良いと思います。早慶附属校のくくりで言えば「かなり簡単」な出題内容ですが、とはいえ中学校の勉強だけでは難しいです。私立難関高校の入試の基礎的な題材がたくさん出てきますから、私立特化の進学塾で習うような知識があればあるほど有利です。
高得点勝負が予想されますから、100点を狙えるレベルまで仕上げておきたいです。
面接について
英語面接(10分)
音読 250語程度(英検の大問2の文章程度)のやや長めの文章を音読します。
質問A 音読した文章の内容に関する質問(文章全体の感想、内容確認、ある語句の意味の確認)が聞かれます。
質問B 一般的な質問(面白かった本、入りたい部活、友達とはどういう存在か、滞在国と日本の違い、将来起こりうる問題など)が聞かれます。
日本語面接(10分)
海外の学校での経験や日本の学校での経験について深く聞かれます。変化球的な質問もあるそうで、かなり力の入った面接のようです。周りの生徒や先生とうまくやっていく力を主に見ているようで、「学校にどのように馴染めるか」が最も重要視されていると思います。
- 活動報告書の内容について2、3点
- 志望理由
- SFCへの通学方法、どこに住むのか
- SFC入学後はどの部活に入りたいですか?
- SFC入学後に勉強面で不安なことはありますか?
- SFC入学後に取り組みたいことはありますか?
- コロナ禍で辛かったことと、どのように克服したか
- 滞在国の最初の印象と生活について
- 滞在していた地域の様子について
- 滞在国で学んだこと
- 日本の学校に入学した際、周りの生徒たちの反応は?
- 日本と滞在国の違いについて
- 日本と滞在国の学校の違いについて
- 日本と滞在国の学校の生徒の違いについて
- 日本と滞在国の中でもう一回住みたい場所は?
- 海外生活が長いですが、日本語をどのようにして維持しましたか?
- あなたにとって「良い学校」とはどんな学校ですか?
この辺の内容は繰り返し聞かれているようですから、しっかりと想定問答集を作っておきましょう。作った想定問答集は必ず、面接を経験したことのある大人に見てもらいましょう。
初めにも書きましたが、慶應SFC高等部の帰国入試では、かなり人間性を重視している様子が伺えます。他の学校とは異なり、面接が合否に占めるウェイトは高いと予想されます。そのつもりでしっかり対策していきましょう。

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