早稲田実業高は、早稲田大学の「系属校」です。「附属校」とされる早大本庄、早大学院とは別枠となるようですが、基本的に全員が早稲田大学に進学できる高校です。
早実は定員が少なめで、倍率が高いことが多く、見た目の偏差値よりも受かりづらい印象のある高校です。
集団塾でも、早実を受ける生徒は比較的少ないので、早実に特化したサポートを受けられる機会はほぼないと思います。
そんな早実に関して、入試の傾向と対策をまとめていきます。
早稲田実業高校の傾向と対策
ボーダーライン(合格最低点)
早実は合格最低点を発表しています。
2019年~2025年の得点データは以下の通りです。(各科目の点数は、受験者平均点)
| 年度 | 英語 | 数学 | 国語 | 合格最低点 |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | 53.4 | 49.5 | 65.0 | 男189女188 |
| 2024 | 47.3 | 46.2 | 65.1 | 男171女179 |
| 2023 | 58.2 | 63.5 | 64.7 | 男207女204 |
| 2022 | 70.6 | 43.1 | 67.3 | 男194女201 |
| 2021 | 57.3 | 44.8 | 65.5 | 男177女184 |
| 2020 | 58.9 | 49.6 | 56.5 | 男178女190 |
| 2019 | 63.1 | 43.9 | 55.4 | 男179女183 |
以下、2018年度以前の合格最低点です。
| 年度 | 男子最低点 | 女子最低点 |
|---|---|---|
| 2009 | 174 | 182 |
| 2010 | 186 | 190 |
| 2011 | 177 | 177 |
| 2012 | 181 | 188 |
| 2013 | 173 | 161 |
| 2014 | 181 | 169 |
| 2015 | 178 | 174 |
| 2016 | 181 | 177 |
| 2017 | 210 | 210 |
| 2018 | 169 | 183 |
ひとまず190点を目指して、科目別の得点計画を立てて勉強してみましょう。
「得意2・苦手1」「得意1・ふつう2」を目指す
「得意2・苦手1」というのは、たとえば「英国が得意で数学は苦手」ということです。「英国70点・数学50点」といった形です。得意科目が2つあれば、苦手科目1つをカバーすることができます。
大事なことは、「得意1・苦手2」という状況のまま入試に突入しないということです。
早実を目指し、最終的には合格を勝ち取っていくような生徒でも、やはり中2くらいまでは「得意1・苦手2」になっている生徒が多いです。そこからいかにして「得意2」の勝ちパターンに持っていくかが合格率を高めるうえでの大きなポイントになります。
各科目ごとの傾向と対策
英語
問題構成は以下のとおりです。
- 整序英作文
- 文法・語法上の誤り指摘問題
- 和文英訳
- 長文読解3題
- リスニング
長文・リスニングに入る前の3題については、年度によって多少内容が異なる場合がありますが、いずれも基本的には文法・語法問題のくくりに入ります。
語彙はそんなに難しくないですが、文法・語法はある程度細かい部分を聞いてきています。英検準2級~準2級プラスレベルまでの語彙を、前置詞も含めて完璧に使えるレベルまで覚えておくことが大事です。
数学
計算系含む小問集合、関数、平面図形、立体図形、関数、場合の数・確率、整数などから出題されます。
分量としては多すぎることはなく、難関高校の数学の中では、比較的時間に余裕のある試験です。
解きやすい問題と難しい問題の差が大きいので、苦手分野をなくしておき、どの分野でも標準問題までは取り切れるように準備しておくことが大事です。
国語
- 大問1物語文
- 大問2論説文
- 大問3古文
の3題で固定されています。試験時間に対して文章量が非常に多く、また、それぞれの小問もすぐには答えが分かりづらい微妙な問題が多く出題されています。
ポイントを抑えてスピーディに読みつつ、記述式の解答は100%を目指さず80%くらいの解答をサクサク書いていくようにしないと、時間が間に合わないと思われます。
さらに、小問の種類がほぼ決まっていて、
- 大問1物語文…記号選択問題のみで、小問数が多い。
- 大問2論説文…字数制限ありの記述式問題を含み、小問数は少ない。
- 古文…内容を問う記号選択問題が中心。文学史も1問。
となっています。
大問1物語文については、「自信がないものに印をつけつつ、とりあえずさっと一周解答し、時間が余ったらもう一周見直す」といった特殊なペース配分も、人によっては有効なはずです。
大問2論説文については、文章の長さの割に、解答に用いる部分は限られている(最も重要な主旨のみであることが多い)ので、そのつもりでさっと読むことが大事です。
大問3古文は、設問が非常に簡単であることが多いです。設問の答えが明らかなので、それをヒントにして本文の内容が分かることも多いです。
古文が簡単なので、古文から先に解くというのも有力な解き方になりそうです。早実の国語の平均点は毎年高めですが、その理由は古文が簡単だからだと思われます。
夏~秋に過去問を解いた場合の得点率
夏~秋(8月、9月、10月、11月)にかけて、初めて早実の入試問題を解く生徒が多いと思います。過去の合格した生徒の例でいえば、ほとんどの場合、夏や秋の時点で合格点は取れていません。入試本番では余裕を持って合格していった生徒でさえ、です。
大切なのは、努力の方向性です。正しい方向にさえ努力できていれば、必ず得点力は上げることができます。
一番大事なこと
私見ですが、高校入試は、中学入試や大学入試と比べて、最も努力が実を結びやすいと思っています。
限られた学習範囲の中で、高校ごとに毎年同じような傾向・形式で入試問題を出題しているので、そうした学校ごとの傾向を把握している教師と一緒に、そこに絞って対策をすれば何とかなることは多いです。
私は過去、中学受験でマーチレベルの学校に落ちてしまった子を、高校受験で早慶附属高校に合格させたこともたくさんあります。「過度に悲観的や楽観的にならずに、やるべきことを淡々とこなしていく」ことが、そうした逆転合格を引き寄せるカギとなります。
もちろん、だれしもモチベーションを保つのが難しかったり、心が折れそうになる時期もあります。そういうときに、周りの大人たちがいかに伴走して支えてあげられるか、というのもまた重要です。
本気で早実高に合格したい方。ぜひコリスの個別指導で一緒に走り抜け、早稲田実業高校の合格をつかみ取りましょう。

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