「慶應女子はもったいない」?東大卒の塾運営者が思うこと

 ウェブサイトを運営していると、どのような検索ワードで自サイトが訪問されたかを見ることができます。

 その中で、「慶應女子 もったいない」というキーワードの検索が結構多いことを知りました。

 本日はこの件について軽く触れてみたいと思います。

 なお、中学受験のために検索している方もたくさんいらっしゃると思いますが、私は高校受験専門なので高校受験の目線で書きます。中受と高受で違いはあれど、今回のお話に関しては共通する部分も多いとは思います。

目次

なぜ「もったいない」のか

 そもそも、どうして「もったいない」という意見が生じうるのかが分からない方もたくさんいらっしゃると思いますので、そこからご説明します。

 慶應女子高校というのは、言わずもがな女子の高校受験の頂点です。

 SAPIXの偏差値表を見てみると、慶應女子高の偏差値は62です。一方、男子の最高偏差値帯は開成の65や筑駒の66となっています。

 男女ともに能力はそんなに変わらないと仮定すると、「もし男子であれば開成や筑駒に進学し、その後東大や医学部などに進学していただろうはずの子たち」が、慶應女子高には一定数存在することになります。

 私の過去の指導経験による印象値ですが、慶應女子高の進学者のうち上位20%くらいはそういう印象です。

 「偏差値至上主義」・「慶應よりも東大が絶対正義」という考え方の人から見れば、この上位20%くらいの層が慶女を選ぶのが「勿体無い」と見えてしまうわけです。

私がもったいないと思わない理由

慶應は東大と比べても遜色ないくらい良い環境

 この仕事をしていると、かつてご自身が早慶に通っていたという保護者の方とお話をする機会がたくさんあります。

 そうした方々の愛校心はかなり強く、「子供に同じ道を進ませたい」と思われる方がとても多いです。しかも、早稲田出身の方は「なるべく早稲田に入れたい」、慶應出身の方は「なるべく慶應に入れたい」という方々が多いです。

 親の気持ちが先行しすぎることの是非は一旦置いておくとしても、この愛校心の強さは満足度の結晶であり、早慶に通った方々の満足度がかなり高いことが伺えます。

 一方、東大出身の保護者の方々も今までに何人かいらっしゃいましたが、東大に入れたいと強く思っている保護者の方は正直ほぼ見たことがないです。ハードルの高さによる部分もあるのかもしれず、またそもそも高校受験なので東大が話題に上ることもそんなに多くはなく、単純な比較はできませんが…。私自身も、東大を出て良かったことは多少ありますが、「子供ができたらなるべく東大に通わせたい」とかいう気持ちはありません。

 東大には、与えられた価値観や枠組みの中で努力して上を目指すことに長けた人たちがいっぱいいます。「自分で一から価値を作り出そう」という面白い人たちも中にはいますが、そうした人たちの割合は早慶と比べて多くはないのだろうと感じています。

 特に、私大の附属中学・高校には、海外経験などを含め豊かなバックグラウンドを持つ生徒さんがたくさん通われています。大学受験の過大なプレッシャーに囚われることなく、そうした環境で色々な考え方に触れることの価値は大きいと思っています。

 また、研究者の中には、慶應義塾大学や早稲田大学を経て大学院から東大に入る方もたくさんいらっしゃいます。実際、私が所属していた東大の言語学研究室にも他大出身の方はいっぱいいました。ですから、アカデミックに進みたい場合であっても、「東大や京大に入っておかないといけない」ということはありません。

単一の誰にでも当てはまる尺度は存在しない

 例えばレストランで、「5000円までのものだったら何でもご馳走するよ」と言われたとしましょう。

 料理Aが3000円、料理Bが4000円、料理Cが5000円だったとしましょう。

 料理Cを選ばないともったいないのでしょうか?

 そんなことありませんよね。好きなものを食べるのが一番良いに決まっています。

 食べ放題に行ったら貧乏性を発動し、お腹パンパンになるまで食べてしまうという人も多いですよね。腹八分目までにとどめて美味しく食べた方が幸福度は高いのに…。

 受験において「なるべく偏差値の高い学校に行きたい」というのは、ある意味こうした貧乏性のような考え方に似ていると思います。偏差値が高いと選択肢の幅は広がります。しかし、それは人の選択を決定づけるべきものではありません。 

受験・学校選びは子供自身が将来について考える良い機会

 脳死で偏差値の高い学校を選ぶのではなく、きちんと理由を持って志望校を選ばせてあげましょう。

 子供自身が、自分の将来について考える大変良い機会になります。

 ただし、子供は限られた知識・経験の中で、誤った選択もたくさんしますから、時には導いてあげる必要があります。どこまで子供に任せ、どこまで保護者が引っ張るか。そのバランス感覚に正解はありません。私も今でも生徒の志望校選びや志望校に関してのお話の仕方はよく悩みます。

 ともあれ、受験は色々な意味で、子供が大人に変わるための好機です。たくさん悩むこと自体に価値があります。そのような視点で、じっくりと辛抱強く向き合ってあげるのが良いと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

東京大学理科Ⅰ類→言語学科卒|TOEIC満点
大手塾で高校受験指導に従事した後、独立。
生徒の成績を上げるのがとにかく得意です!
「楽しく・最高効率で学びを進める」ことを常に考えています。
都庁やインドで働いた経験もあり、いろいろな経験を生徒に伝えることができるのも強みの一つです。

コメント

コメントする

目次