都立日比谷高校2026数学の出題ミスがあった問題を軽くご紹介

【高校受験2026】都立日比谷高、24人追加合格…数学の出題ミスで加点

 こちらのYahooニュースの記事のとおり、都立日比谷高校で出題ミスがあったために、24人が追加合格になったそうです。内容としては、学校が認識していた正答の他にもう1つ正答があったというもの。

 今年は私の生徒で日比谷を受検した生徒がおらず、私は解いていませんでした。気になって解いてみましたが、問題自体は特に難しい問題というわけでもなく、できれば正解したい問題。「もう1つの正答」については、生徒はいかにも見落としそうですが、数学の先生としてはこの別解を見落とすのはちょっと恥ずかしい気がします。。。が、見落としてしまった背景はなんとなく分かる気がします。なぜ見落としてしまったのかの考察は下の方に書いてあります。

 以下、おそらく第一に想定されているであろう解法です。(もう少し速い解法もあり、それは後ほど触れます)

Screenshot

 オレンジで書かれている文字は、問題の設定として与えられている数値(+ちょっと代入しただけでわかる数値)です。赤で書かれている文字は、そこから解き進めていくことでわかる数値です。

 △APQの面積を半分にしたいので、PQ上でAの真下にある点Tをとり、ATの中点Uを取ります。すると、△UPQ(オレンジの三角形)が△APQの半分になっています。これと同じ大きさで△PQRを作れば良いので、PQ//URとなるように点Rを直線m上にとれば良いです。

 これで一つ目の点Rが得られるわけですが、同じ面積の三角形はPQの下側にも作れる(青い三角形)ので、そこから同じように平行線を引いて直線mとの交点をRとすることで、点Rがもう1つ得られます。これが「もう1つの正答」です。(上の図は右側に余白がないのでもう1つの点Rは見切れています)

 なお理由は省略しますが「もう一つの正答」は、初めに得られたRについて、ARの長さの3倍になる点にもう1つのRをとっても得られます。

 また、もう少し速い解法としては、直線PQと直線mの交点をWとすると、AWの中点が求める点Rです(理由は、上で省略した理由と同じです。ここでも省略)。そこからARの長さを3倍にした先に、もう1つの点Rがあります。

 さて、高校入試数学の枠組みにおいては「解答が複数ある」という理由だけで出題ミスであるというわけではありません。「全て解答せよ」と書かれていなくても複数解答になる問題はそんなに珍しいわけではありませんから、高校側の発表した解答が複数解答になっていればそれでよかった、ということではあります。

 ただ、実は都立高校の入試の数学の問題では慣例的に、特に指定のない限り解答は1つになるように作られています。それゆえ、この手の「反対側の三角形」を含めて複数解答になることはほとんどないように(よく言えば優しく)作られています。一方、早慶附属高校や一昔前の筑駒では、こういった見落としやすい別解を持つ問題は頻繁に出題されています。

 邪推ですが、この問題を作成された先生は都立の先生なので都立の過去問ばかり解いていたので、こういった「反対側」の可能性を見落としてしまったのかもしれません。

 この問題については、難関私立・国立高校を併願していた受検生を中心に、複数解答が存在することに気付いていた受検生は絶対にいたと思います。おそらく解答用紙に正しく複数解答を記入していた受検生も複数いたのではないかと思います。それを見た採点者側は流石に別答の存在に気づくと思うので、今回塾に表立って指摘されるまで、「気付いていたけれど沈黙を貫いていた」のかもしれません。真相はわかりませんが、もしそうだとすると、ニュースの発表よりもう少し闇が深いですね。

 ところで今回の出題ミスとは関係ありませんが、日比谷の数学は数年前から劇的に簡単になっております。今回のこの問題も、高校受験としてはいわゆるマーチレベルの中でもやや簡単な方というレベル感です。

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この記事を書いた人

東京大学理科Ⅰ類→言語学科卒|TOEIC満点
大手塾で高校受験指導に従事した後、独立。
生徒の成績を上げるのがとにかく得意です!
「楽しく・最高効率で学びを進める」ことを常に考えています。
都庁やインドで働いた経験もあり、いろいろな経験を生徒に伝えることができるのも強みの一つです。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • 該当の問題解いてみましたが、問題は中学生が解ける欠陥ない問題です。
    問題に、解のⅹ座標が1つだけとは記していないので、問題としては成立しています。
    作問者の頭に正答が1つしかなかったから、公表した正答が2つであるところ 1つになったようです。
    ですから出題ミスではなく、広い意味で採点ミスと言えます。

    • コメントありがとうございます。
      「問題としては成立している」というのはおっしゃる通りだと思います。記事にもそのように書いたつもりです。

      「採点ミスである」という件につきまして、
      確かに、「採点時に正しく採点すれば良い」という意味で、「採点ミスである」という側面は大いにあると思います。

      一方、「出題時点で気づいておくべきことに気付けていなかった」という意味では出題ミスという側面もあると思います。
      例年、都立の入試では
      https://www.schoolguide.ne.jp/news/entry/entry001175.php
      こうしたサイトに入試当日に学校作成の解答例が載るので、採点前の時点(出題時点)で作成している解答がすでに不足していることが分かるからです。

      私としましては、「出題ミス」か「採点ミス」かをどちらかに決める必要はない気もしますが、
      いずれにせよ採点時点で気をつけていればこれほど大事(おおごと)になるのは防げたのでは?というのは同意見です。

  • 「出題時点で気づいておくべきことに気付けていなかった」という意味では出題ミスという側面もある。
    これは一側面として正しいですが、今年の理科のように問題が成立しないなら、出題ミスですが
    日比谷の場合の問題には不備がない(中学生が解ける)、欠陥のない入試問題です。
    よってどちらかにしろと言えば、明らかに採点ミスと私は判断します。
    戸山高校の数学の正答例のように訂正(日比谷の場合は追加)して対応するのが通例です。
    2(2)だけ採点をやり直すことにしたほうが自然かつ公平です。
    例えば正答2つで8点、正答1つで4点のように採点し直せば、公平性が保持されます。
    それは単なる技術的な話です。しかし今回は2日の午後に外部からの問い合わせで 
    <もう一つ正答が存在することが判明した。> そのため、都教委は大いに焦り、
    困窮したでしょうが、一律8点を加点したとのこと。
    採点をやり直すと、2日に出した合格者が不合格になる(実際には出来ませんが)可能性もあり、
    窮余の策として一律8点を加点し、翌日新たに前代未聞の24名もの追加合格を出したのです。
    合格者が不合格になるのを防ぐための措置ではありますが、少し広い視野からみると
    欠陥のない問題を出題ミスと言って、その問題を無かった事にしたのは公平性を損ねています。
    これとは別に次の疑念があります。
    試験2日後にYouTube動画で、第三者が出題ミスを指摘していました。
    また日比谷を受ける位の受検生ですから、少数でしょうが2つの正答を記した受検生がいたはずです。
    採点者がそれを目にした瞬間「あ、2つある」と気付くのが自然です。
    以上から数学関係者が出題ミス(厳密には採点ミス)に気が付いていないのは不可解です。

    • ご返信が遅くなりましたが、詳しい情報をありがとうございます。
      Youtubeにも動画が上がっていたのですね。
      本当に、このレベルのミスがここまで見落とされてきたのは不可解で、経緯が気になるところです。

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